生ビールとは、ひとことで言うと「熱処理をしていないビール」のこと!
1975(昭和50)年頃まで、日本で主流だったのは「熱処理ビール」。 その頃、生ビールの輸送はまだまだ不安定な時代でした。 ビールの中の酵母の発酵が進むことにより味が落ちてしまったり、コルクの栓が抜けたり…という事故も起こっていたのだそう。 安定して美味しいビールを届けるため、熱を加え、殺菌したものを提供していたんですね。
その後、技術の発展により、熱処理をしなくとも美味しい”生ビール”を届けることが可能になりました。 その技術を開発したのは、なんとNASA!!!
NASAが開発した「ミクロフィルター」という技術により、熱処理をしなくても酵母を殺菌することに成功したのがサッポロビール。 『純生』という名前で売り出し、爆発的にヒットすることとなりました。
しかし… そこに待ったをかけたのが、同じく大手ビールメーカーのアサヒビール!
アサヒビールは翌年、殺菌していないビールを「本当の生です。酵母が生きています。」と発売。 それは工場周辺のみ出荷・冷蔵保存必須・賞味期限は2週間(!)という、なんとも特別な生ビールでした。 サッポロビールの「熱を入れていないビール=生ビール」という主張に対し、「酵母が生きていない(=殺菌している)のなら、それは生ではない!」と真っ向から対立したんです…!
最終的に、公正取引委員会が「生ビール=熱処理をしないビール」と決定。 それ以降は現在のように、各ビールメーカーが「生ビール」を発売するようになりました。
実は、私たちが現在飲んでいるビールのほとんどは「生ビール」なんです! つまり、容れものが異なるだけで同じもの。
今までお店の生ビールをありがたく飲んでいたのは何だったの…!なんて声が聞こえてきそうですが、お店の生ビールが美味しい理由もちゃんとあるんです。
ビールは、実はとっても繊細な飲みもの。 ビールの温度、炭酸とのバランス、グラスの形や温度、そして注ぐ角度、最後に乗せられるクリーミーな泡…。 もちろん、サーバーやグラスがきちんとキレイに保たれていることも大切! こういったたくさんの要素が相まって、お店の生ビールは美味しく保たれているんです♪
いかがでしょうか? 生ビール=熱処理していないもの、というイメージのある方もいるかと思いますが、缶や瓶の中に入っているビールも「生ビール」、というのは意外だったのではないでしょうか。
そして、今でも提供されている数少ない「熱処理ビール」にもファンがいるんですよ。 生派、瓶派、缶派…… 中身のことを知った上で名乗ると、ちょっとカッコいいかも。 その場の雰囲気も合わせて、今夜も美味しくビールをいただきましょう!
参照:マイニュースジャパン「ジョッキ、ビン、缶…中身はぜ~んぶ同じ 生ビール=新鮮の嘘」2006.08.18 山中登志子 http://www.mynewsjapan.com/reports/411